サツマイモ「シルクスイート」で焼芋の冷燻。
昔、晩秋初冬に枯れ葉が舞い散ると、どこでも落ち葉焚きが行われました。マヤマヤが育った長野県上田市山口地区でも、タオスが育った東京都大田区高畑地区でも、落ち葉焚きが始まると、そこが他人の庭だろうが畑だろうが、近所の子供達が集まってきて、サツマイモを焚き火の中に放り込んだものでした。焚き火で出来た焼き芋は今ほど甘くはないものだったけれど、熱々で香ばしくホクホクとほっぺたを刺激してくれました。それは、おやつの乏しかった1960年代ころの至福の思い出です。
そこで今年の冬は、自家栽培したサツマイモ「シルクスイート」を焼芋にして、皮を剥き、リンゴの木の煙をまとわせました。シルクスイートはその名の如く、絹の様に滑らかで洗練されたサツマイモですが、燻すことで鼻の奥深く脳のどこかを刺激して、落ち葉焚きのイメージを瞼の裏にくっきりと浮かび上がらせてくれます。甘さ控えめのシルクスイート焼芋冷燻は、そんな懐かしさを思い起こさせてくれる、心に美味しい逸品です。
サツマイモ「シルクスイート」
「紅はるか」より2年遅れて2012年に登録された品種。「紅はるか」より甘さは劣るものの、シルクを冠する名前の通り、絹ごし豆腐を思わせるような滑らかな食感が特徴。裏漉ししなくても、そのままで芋羊羹のようなスイートポテトのような。。。調味次第では上品な大人の菓子に仕上がります。